アパートに戻った。
今日は前夜祭。といっても特別やることもない。なんとなく物足りなさを感じていたとき私の頭あることが浮かび足はまたまた我が家に向かっていた。
「最後の夜は最後まで…」
今まで数えられないくらい我が家に行ったがいつも「お願いします」といって家を後にする。工事中、我が家の鍵閉めに立ち会ったのは1度だけ。
今日は工事最終日。そうだ最後の鍵閉めに立ちあうと思った。
新米指揮官にとっても迷惑なことであるがそんなことは気にせず「またきちゃいました」と言いながら中に入った。
事情を説明しとりあえず新米指揮官さんの仕事が終わるのを待つことにした。新米指揮官さんは片付けをしながらも待っている私を気遣い時々、声をかけてくれ、思い出話にはなが咲き、楽しく待つことができた。
新米指揮官さんが別の部屋の片付けしていたときだった、管理集中の扉が私の目の中に入ってきた。
管理集中とはリビング隣の和室の壁に埋め込まれている収納棚のこと。
この収納棚がこの場所についたのは「お菓子入れがほしい」という一言からだった。
旧我が家の茶の間には埋め込みの棚があった。その中に入っていたものはお菓子。小さい頃、おやつの時間になるとその棚からお菓子を出してもらっていた。棚は上にあるため小さな子供では手が届かない。おやつに出されたものだけでは物足らなかったとき、なんとかその棚からお菓子を取りたくて背伸びしながら中のものを取り出そうとしたことを今でも鮮明に覚えている。そういえばギャング達も旧我が家で同じことをやっていた。
茶の間のお菓子入れ棚は我が家の必需品だった。
釣り名人さんに「お菓子入れがほしい」お願いすると「管理集中というものがあります。これでどうでしょう?」と即、答えが返ってきた。「これでいいです」とじゅんぺい親子も即、答えを出した。「管理集中」は検討時間、約1分で決まった。
そんなお菓子入れ棚の扉は観音扉。じゅんぺいの目には扉と扉の間が離れ過ぎているように見えたのだった。新米指揮官さんに「あの〜」と伝えると新米指揮官さんはドライバを片手にちょこちょことなおしてくれた。
お菓子入れ棚の補修を終了した新米指揮官さんはじゅんぺい家の最後のチェックに入った。じゅんぺいも一緒にチェック。じゅんぺいはお風呂場に行った。
「あれ?水が入ってる」
またまた新米指揮官さんを呼んだ。新米指揮官さんの首も横に傾いた。
「多分、先日の竣工検査の際にお湯をためたのでその時に栓を抜くの忘れたのでは?」と新米指揮官さんに言った。「そうですね〜。でも理由がわからないのでとりあえずこのままにしましょう。」と水はそのままにすることにした。
苦笑いの新米指揮官さん。よく見るとうさぎの目をしていた。顔は笑っているけれど疲労顔。12月下旬にさしかかり年内入居を予定しているお宅は山のようにある。新米指揮官さんの仕事は大忙しいなのである。更に引渡しとは別に据付工事も待っている。ちなみに明日は別の場所で据付工事を予定していた。
大忙しの新米指揮官さん。そろそろ蓄積された疲れがピークに達している模様。
我が家の最終チェックは終了することにした。
そして、玄関の電気を消した。
