大きな問題もなく解体は始まっていた。
今日はどこに手をつけるのだろう?
そういえばまだ植木の根が残っていたがあれはどうなるのだろう?と思いながら私はいつも通り職場の机で仕事をしていた。
父は日に何度か解体の様子を見に行っていた。午前に1回、午後に1回・・・
この2日間で同世代の親方と随分、親しくなっていたようだった。
午後3時過ぎ、睡魔と山のような仕事に追われていたとき1本の電話が鳴った。それは自宅からだった。
こんな時間に電話なんて何かあったのかと思いながら「何?」と聞く。
「今、ブロック塀を崩しているけど予想以上に基礎がやわらしい。親方は取り除いたほうがよいと言っているけどどうする?フェンスぐらいなら大丈夫だとも言ってるけど・・・」
緊急事態発生!!
今回の計画では費用削減のため塀はブロックのみ取り壊し、基礎は残す計画になっていた。
電話を切り即、ハウスメーカーに連絡した。
しかし、今日はあいにく木曜日。定休日である。
営業さん、設計さん、外講さんともにお休み。
エアコンのない部屋で「どうしよう。どうしよう・・・」と思いながら担当者からの電話を待っていた。
汗がじわじわとでてきた。
時計をみるとまだ1分しかたっていない。私には30分は経過したように感じていた。
今、撤去するならついでにやってくれる。
でも、もしあとで壊すことになれば金額もアップする。
でもでも、基礎を壊せば外講の金額もアップする。
どちらもアップ、アップ。
いったいどっちを選択したらよい?
私の気持ちも懐もギブアップ寸前だった。
携帯をみた。「ブルブル」と揺れることはなかった。
仕方なく自分で決断することにした。優柔不断な私にとって一番、苦手な事柄である。
「地震に強い○○○○ハイム!!」
一つの合言葉が頭に浮かび、やわな基礎は取り除くことにした。
決めてから10分後。営業さん、外講さん共に連絡が入った。
もう既に基礎の解体は始まっていた。
